終戦記念の日

今日はいわゆる終戦の日である。右の人たちも左の人たちも、思い思いに集会を開き、思い思いの主張をする日でもある。
ひとつだけ言えるのは、一部の人たちが言う「独裁政治」ではない、今の日本は。
なぜなら、体制批判が、当たり前に言えるから。
本当の独裁政治は、反体制派の存在自体を許さない。少し考えれば、どういうことかわかるだろう。すぐ近くの国に、いい事例があるからね。
「私は君の意見に反対だ。だが、君がその意見を言う権利を、私は命懸けで守る」
これが本当の言論の自由を尊ぶ心だ。
自分と意見が違う人間を、喚き散らして黙らせるのはそれに反している。


戦時中は、言論の自由など存在しなかった。政府の政策に反する意見を持つものは、政府だけではない、下手をすると一般市民からも糾弾された。
そういう空気になってしまっていたのだ。
もちろん戦火が直接本土に迫ってきた状況になってくると、さすがに内心「これは負けだろう」と思う人は結構いたらしいが、それをうっかり口に出すことはできなかった。若い世代になるほど、真剣に“どんな状況になっても最後は神国日本が勝つ”と信じていた。
現代の人は、「なんであんな馬鹿なことを」と思うかもしれない。でも、仮にタイムスリップでもして当時に飛び込んでしまったら、戦争へと向かう空気に染まる国民の意識に抗うことは難しかったはずだ。ただ軍部が暴走しただけじゃない。国民もまた、それを容認してさらにあおるような空気を醸し出していたのだ。
目が覚めたのは、実際の被害に直面してからだ。
人間というのは、そういうものなのだ。