プロフェッショナル

「プロフェッショナル仕事の流儀」先週放送分を見る。
今回は、“マジシャン”の異名を持つ中学英語教師。
その先生の授業は、とても賑やかだ。生徒達が、目を輝かせて授業に向かう。
「教師=エンターテイナー」
今年、その人は一年生の担当になった。英語で躓くか否かの大事な学年だ。
彼は、いきなり教科書は使わない。アニメキャラクター*1の描かれたプリントを配布し、英語で“この人は誰 ? ”と質問し、生徒達をのせていく。
生徒達が充分のってきたところで、初めて教科書を開く。
まず、生徒達を楽しませ、のせてから、本格的な授業に入る。それが、この人の教え方だ。
「答えは自分で見つけさせる」
授業中、突然まだ教えていないことを、生徒に質問することがある。答えは、教科書や副読本に載っている。生徒自身に調べさせるのだ。時には、答えを教えないまま、授業を打ち切ってしまうこともある。そうすることによって、生徒達は自力で調べようと頑張る。
そうやって自分で調べたことは、忘れない。
だからこそ、あえて生徒を突き放すのだ。
「1対1で向き合う」
むろん中には、どうしても授業についていけない生徒もいる。
そういう生徒の場合、やる気を起こさせるには、1対1で向きあうしかないと考える。
ある一定の課題をクリアした生徒を、他の生徒を教える“ティーチャー”にし、生徒同士が教えあう環境を作り、その間に積極的に参加してこない生徒の間を巡る。
しかし、かつてはスパルタ教師で、生徒達に恨まれていた。
授業がうまくいかず、その鬱憤を野球部の指導に向け、“軍隊”と渾名されるほど厳しくしごいた。チームは大会に優勝したが、卒業のときの懇親会で、生徒から「頑張れたのは先生への恨みからだった」といわれ、ショックを受ける。
その後故郷に戻ってやり直すことにするが、そこで思いがけない出会いがあった。
授業の補助としてやってきた、日系カナダ人の青年。その青年は、外国人と共同での料理や、キャンプなどを提案、実行した。生徒達は、嬉々として取り組んだ。
その効果に半信半疑だった彼も、あるジェスチャーゲームで、英語が苦手だったはずの生徒が、流暢な英語でスラング交じりの答えを返したとき、気づいた。
楽しむことは、悪いことじゃない。
それから彼は、授業の内容を劇的に変えていった。
「熟さない実は摘み取らない」
生徒達の中にひとり、早くに“ティーチャー”の役をやるようになった生徒がいた。しかし彼は、“ティーチャー”の真の役割を理解していなかった*2
その生徒は、期末試験で思うような成績が出なかったため、他の生徒の「教えて欲しい」という声を無視し、勝手に二学期の予習を始めた。先生はそのときは、わざと様子を見ていた。
そして最後の授業のとき、わざと厳しく単独で試験をし、「人の痛みをわかれ」と諭した。生徒は、自ら他の生徒達の間を回り始めた。
本人が気づき始めるまで、声はかけない。そうやって、生徒の意識が熟すのを待つのだ。
二学期が始まると、また生徒達との日々が始まる。

*1:VTRに登場したのはアンパンマン

*2:生徒達が教えあうことにより、互いに高めあうことが出来るというのが、真の目的だ