つながるんだよね

ここのところ、NHKスペシャルでインカ・マヤ・アステカについて特集する“失われた文明”シリーズをやっている。
この中で、自壊して密林に消えたマヤを除くと、インカとアステカはスペインに滅ぼされた。
当時のスペインのやり方は*1、現代人からすると「なんてことしてくれたんだ、独自文明ぶっ壊しやがって」といいたい所業をかましてくれてるわけなんだけど、ふと考えをめぐらすうちに、それがあの“カリブの海賊”までつながってることに気づいた。
無論映画の“パイレーツ・オブ・カリビアン”シリーズはファンタジーだが、史実のカリブの海賊は、背景にスペインの植民地支配による富の収奪がある。
中南米の植民地で得た富を、スペイン本国に運ぶ商船を標的に、イギリス政府が許可書を出した船が、私掠船としてカリブ海を中心に暴れ回った。
それが、カリブの海賊のそもそもの出自なのだ。
スペイン船から富を掠奪し、それを本国イギリスに持ち帰って、その功績により貴族の称号を得た人物まで存在する。
だがしばらくすると、本国ヨーロッパの政治的状況の変化から、イギリス政府は私掠行為を禁止し、海賊家業をやめるよう命令をした。
それに従わず、海賊行為を続けたものが“バッカニア”と呼ばれる本当のカリブの海賊なのだ。
海賊達は、イギリス海軍の厳しい取り締まりに追い立てられ、やがて歴史の彼方に消えていった。


だから、パイレーツ・オブ・カリビアンの第一作“呪われた海賊たち”の中に“アステカの金貨”が出てくるのは、決して単なる思い付きなんかじゃないんだよね。
ちゃんと、歴史上の事実を元に、ファンタジックなアレンジを加えてるわけで。
ここまで考えて、またしてもふと思った。
海賊は、同じ犯罪者集団といっても、どこかにロマンの香り漂うファンタジックな存在として、後々のフィクションの世界でも大暴れをしている。
でも、山賊ってそういうロマン、ないよね……
この違いは、なんなんだろうなあ(苦笑)。

*1:スペインのみならず、当時のヨーロッパ人全般がそうなのだが