プロフェッショナル

「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見る。
今回は、40代にしてこの世界に入ったという、樹木医の女性の話。
この人が見守っている、樹齢百数十年といわれる見事な大藤。今年もきれいに花を咲かせた。
物言わぬ樹木でも、必ず何かを発信している。その異変に素早く気づき、手当してやることが、大切なのだという。
この人は今までも、「もうだめだ」と言われた木を甦らせてきた。
しかし、時には非情の決断をしなければならないときもある。
あるお寺の、樹齢1000年の大木が、枯れかけていた。その木は、現在の薬品では進行を止めることが出来ない菌に根を侵されていた。
「木の立場で考える」
彼女の決断は、“周辺のまだ健康な木を護るために、伐採する”というものだった。
むろん、これはつらい決断だ。だが、周りにはまだ健康な木が多くある。その木々を護るためには、どうしようもない決断だった。
彼女の転機となった仕事がある。大藤の移植だった。
周辺の再開発のために、巨木を移植する。
藤は樹皮が柔らかくデリケートで、輸送の途中で傷がつくと、そこから菌がはいって腐り出すことが多い。それを防ぐために、外科用の石膏で幹を固めることを思いついた。
幹は護られ、藤は新しい場所で、再び花を咲かせた。
ところが今年は、白藤の花芽が成長しない。
いくら考えても、原因がわからない。
「悩みの先にしか答えはない」
覚悟を決めて根を掘ってみる*1と、根が腐って菌にやられていた。やむなく移植して根切りし、新しい根が生えて再生するのを待つことになった。
そして、今年のゴールデンウィーク。彼女が手塩にかけた藤を見に、大勢の人が詰め掛けた。その人々の笑顔に、彼女も微笑む。

*1:藤の花芽が成長する時期は、根から多くの水分を吸い上げる必要がある。その時期に根を掘り返すのは、花芽にまでダメージが行く危険性がある