プロフェッショナル

プロフェッショナル 仕事の流儀」の今週放送分を観る。
今日は、お菓子の職人パティシエの話。
かつて、パティシエとして世界最高峰に立ちながら、今は路地に面した店をたった1店舗構えるだけの、密かな職人。
その人は言う。

「あたり前が一番難しい」
木苺のムースを作るときも、果汁が体温で分離するのを防ぐため、手が温まってくると氷水に手を入れて冷やしながら、ムースを型の中に絞りいれる。
かつての修行時代、パリで味にほれ込んだ店があった。3年手紙を出し続け、迎え入れられた。
奥義が教われると喜んで入ったその店で見たものは、特別な材料を使っているわけでもなく、レシピも料理学校で教えられるものそのままという謎。

それなのに、その店の味は特別だった。
しばらく見ていてわかったことは、使うフルーツは、少しでも痛んでいるものははずす。
洋酒を生地に滲みこませる場合も、一滴も残さず滲みこませる。
オーブンで焼く時間も厳密に守り、1分でもずれたものは絶対に客には出さない。
おいしいお菓子を作るためにはあたり前のことを、ただひたすら厳密に忠実に守っていたという事実。

あたり前を重ねると、特別になる。
その人は今も、腱鞘炎の体を騙し騙し、愚直に現場に立ち続け、あたり前のことを続けている。