哀しき末裔

昨日、予想通り寝落ちして、ほとんど内容がわからなかった「新シルクロード」の録画を見る。
今回は、アラビア半島をたどる道。
伝説のシバの女王の、末裔が住むというイエメン。
この国は、かつて乳香で栄えた。
宗教儀式に必須の香として、もてはやされたがため、黄金にも等しい価値で取引されたからだ。
実際、イエメンの砂漠の中には、かつてのシバの女王の神殿ではないかと推測される、巨大な神殿の遺跡が発掘されている。
しかし、乳香を必要としないイスラム教の台頭で、かつての栄華は砂漠に消えた。
今のイエメンは、内戦の傷跡が大きく、電気も水道も通っていない田舎の村でさえ、出稼ぎで現金収入を得ないと、やっていけない状態になってしまっているのが哀しい。
その出稼ぎ先はすぐ隣、世界最大の石油輸出国サウジアラビアだ。
正直、成金趣味丸出しの暮らしぶりにはなんともいえない感情を覚えた。
オイルマネーが大量に流れ込むために、街はイエメンとは対照的だ。
しかし、やはり乳香で栄え、その取引がなくなると滅びていった街の遺跡にいたベドウィンが、聴かせてくれた古い歌が、何かを暗示させる。
確か、こういう内容だったと思う。


人生は、旅のようだ。
 春のように栄えるときもあれば〜
 いつかは繁栄は終わりを告げる
 あとには、砂漠とラクダしか残らない


ふと、諸行無常という単語が、頭をよぎる。
石油だって、無尽蔵にあるわけじゃない。いつか枯渇したとき、オイルマネーに頼りきって、派手な暮らしを続けてきた人々はどうするのだろう、という思いもかすめていった。