ナスカ展

上野の国立科学博物館で開催されている「ナスカ展」を見に行った。
ナスカと言えば“地上絵”だけど、これは地上絵を描いたナスカの人々の文化を、総合的に*1展示してある。
中でも、私が一番心動かされたのが、小さな子供のミイラ*2だった。
極端な乾燥地帯であるナスカの地*3は、特にそうするつもりがなくても、埋葬された遺体がミイラ化して残ってしまうことが多い。この子供のミイラも、そういうミイラの一体らしい。
で、その子、とても遺体の保存状態がよくて、皮膚もほぼ完全に残り、普通は残らない眼球までも残っていた。
眼球が残っているので虹彩もわかり、ミイラは現代を見つめている。
私はふと、心の中で思った。
「ねえ、その瞳に、何が映っているの? 現代という世界は、どう見えているの?」
この子に向かって、“我々はすばらしい世界にいるんだ”と、現代人は言い切れるんだろうか。
最後に、地上絵のマップとセットになった図録*4と、オリジナルバンダナを買って、展示室をあとにした。

*1:土器中心ではあるが

*2:推定年齢6歳の男の子

*3:平均年間降水量0.25ミリ。1998年には年間3ミリの雨が降り、「近年まれに見る大雨の年」と周辺住民は記憶しているという

*4:\3000なり