大地震

午後2時46分、地震があった。
そのとき街頭にいたのだが、始めはあれっと思った程度だったものが、どんどん大きくなって、立っていてもよろけるほどの揺れとなった。
とっさに思ったのは、揺れ方からして東京直下型ではないということ、そして東京がこれだけ揺れたなら、震源地ではどういう揺れだったのか、ということだった。
携帯電話は程なく通じなくなり、ネットへも接続できない。
ただ、少しずつ断片的な情報が入り、東北地方がひどい状態だとわかってきた。
しかし、どうすることもできない。
東京でも、時折緊急車両がサイレンを鳴らして走っていく。
電車は全て止まったという情報も入った。
その間も、余震と思われる揺れが感じられる。
何が起こっている ?
とにかく、帰宅できる時間となったが、電車は動いていない。
使えそうなバスも、時間が早く終わってしまって使えないと確認できた。
もはや、自分の家の近くまで通じるバスが出ているターミナル駅まで、歩くしかないと腹をくくった。
左膝は正直言って、かなりきつい状態になっている。だが、歩くしか帰宅できる道はない。
余計な裏道に行って道に迷ったりしないように、幹線道路沿いにひたすら歩く。
途中、膝がきつくて立ち止まって膝を揉んだり、昼から何も食べていない体に糖分補給のために甘い缶コーヒーを買って飲んだりしながら、ひたすら歩く。
結局3時間かかって目的のターミナルにたどり着いた。
道々何度か自宅に連絡を入れたが、携帯電話がまったく通じないので、たまたま人が並んでいなかった公衆電話を見つけて電話をかけた。
とにかく、バス停まで行ってみると、行列が伸びすぎて何がどうなっているのかよくわからない状態になっている。
このころになると、3〜4回に1回は携帯電話が通じるようになっていたので、弟に何とか連絡を取り、車で迎えに来てもらった。
帰宅したときには、午後10時を大きく回っていた。
帰宅してTVを見て、初めてとんでもない事態だったと知る。
なんだ、観測史上最大のM8.8の大地震って。
阪神大震災のときの130倍のエネルギーって、なんなんだ。
今は、ひとりでも犠牲者が少ないことを祈るしかない。
自宅の被害が、“上から軽いものが落ちた”程度で済んでいただけに、被害の大きさに言葉を失ってしまう。
実際、まだ余震と思われる揺れは、そう間隔を置かずに起こっている。
全貌がわかるまでには、まだ時間が掛かりそうだ。