プロフェッショナル

「プロフェッショナル仕事の流儀」今週放送分を観る。
今回は、ウイスキーブレンダー*1
ウイスキーというものは、蒸留されてできた無色透明の原酒を木の樽で何年も、ときに何十年も寝かせ、その樽特有の風味を持ったものになったところで、それをいくつも*2ブレンドし、あのウイスキーになるのだ。
この人は、その配合を自分の感性で決めるブレンダーである。
自分自身がある一定のものさしにならなければならないので、昼食もいつも同じ、風邪は最近いつ引いたかわからない、というほど体調に気を使う。
この人の考え方には「優等生では面白くない」というものがある。無難に無個性にまとめてしまうより、癖のあるほうが面白いというわけだ。
ただ、一度味に妥協して痛恨の大失敗をしたことがあり、それ以来「本当に自分は納得しているか」と自らに問いかけ続けるようになった。
そして、シングル・モルトの新製品を作り出そうと、25年物*3の原酒のテイスティングに入った。
ところが、今回の原酒はどれも個性に欠け、個性の強いものは癖があり過ぎるという、厳しい条件。
さんざん試して出した試作品は、すっきりと飲みやすくまとめたものと、それにほんのわずか“暴れ馬”のような個性の強すぎるもの*4を混ぜて、荒削りだが未知の可能性を秘めたものの2つ。
それを副社長に判定してもらうと、副社長もまた荒削りのほうに可能性を感じた。
新たな試作品は、強すぎる個性の原酒をさらに減らし、0.1%単位での調整となった。
今日も彼は、テイスティングを続けている。


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*1:例によってNHKでははっきり会社名を出さないが、サントリーのチーフ・ブレンダーである

*2:ときに40種類近くに達するときがある

*3:当然ウイスキーでも最高級品のランクで、10万円台の価格になるだろうという

*4:ブレンダー曰く“硝煙の香り”。つまり、火薬が燃えたようなきつい匂い